6月末や7月の中旬あたりになると、多くの神社で「夏越の大祓」という行事をします。
神社の境内に、カヤで作られた茅の輪が置かれていて、そこをくぐることによって半年のうちにため込んでいた罪や穢れを追い払う行事です。
この夏越の大祓では基本的にやってはいけないことがあって、それが「茅の輪のカヤを持って帰る」というもの。
でも、京都の北野天満宮でカヤを持って帰る人がいて、神社側が困っているというニュースを見かけました。
夏越の大祓で使われたカヤを持って帰ると、他人の穢れを持って帰ることになるんですよ…。
微力ながら、力になればと思い、記事にしました。
目次
茅の輪の中には穢れがいっぱい!
明日6月24日午後4時ごろより、夏越の大茅輪を楼門に設置致します。全て神職さんらの人力による奉製です✨
大茅の輪くぐりは翌25日から!大茅の輪のお持ち帰りは穢れを持ち帰ることになります。何卒ご理解いただけましたら幸いです????♀️????#京都 #北野天満宮 #大茅の輪 #夏越の大祓 pic.twitter.com/5ab0jkKkrO
— 北野天満宮 北野文化研究所 (@kitano_bunka) 2019年6月23日
上のツイートの最後の方に注目してください。
大茅の輪のお持ち帰りは穢れを持ち帰ることになります。
北野天満宮 北野文化研究所ツイートより
実は私は初めて知ったんですが、茅の輪には穢れが吸い込まれているので、持ち帰ると他人の穢れを持って帰ることになっちゃいます。
茅の輪って、例えるとスポンジみたいな感じで、人がくぐることでスゥ~っと穢れが吸収されていくんですよ。
イメージだとこんな感じ。

だから、茅の輪の中は色んな人の穢れが詰まってます。
茅の輪のカヤを持ち帰るってことは、汚れたスポンジを持ち帰るようなもの。
本来いらないものを、わざわざ持って帰るんです。
本来なら茅の輪くぐりで清められたことで、綺麗なまま帰れるのに
実際に注意喚起している神社もあるよ
【夏越祓(なごしのはらえ)】
※茅は抜いて持ち帰らないで下さい。
茅の輪は、くぐることで穢を茅にうつし祓清められるというものです。
茅を抜いて持ち帰ることは、他人の穢を持って帰ることになります。#茅の輪くぐり pic.twitter.com/0VIVTWtx6I— 下御霊神社 (@shimogoryo863) 2019年6月23日
京都市中京区の下御霊神社では、このような看板が掛けられています。
神社側がこうして呼び掛けているのですから、持ち帰るべきでないものだと知ってほしいですね。
カヤを持ち帰るのは民間信仰から

茅の輪のカヤの持ち帰りについて、京都新聞は以下のように記載しています。
1970年代から同天満宮はカヤを持ち帰る参拝者に悩まされている。89年6月26日付の京都新聞にはすでに「十数年前から茅の輪のカヤを自宅の門口に飾る風習が広まっており、この日もお参りの人たちはカヤを次々と抜き取った」との記事が載っている。
同天満宮によると祭神が「学問の神様」として知られる道真であることから「茅の輪」を「知の輪」と解釈し自宅に飾る民間信仰があるという。
どうやら、カヤを持ち帰っちゃうのは民間信仰からきてるみたいですね。
引用元の記事は、京都の北野天満宮についてのことだったので、学問の神様に由来する民間信仰もありました。
うーん、まぁそもそも茅の輪くぐりって、「茅の輪を腰にくくり付けてりゃ、病気にかからないぞ!」ってスサノオが助言したって話が元になってるからなぁ…。
だから「カヤを持ち帰る」ってのが出てきちゃったのかな?
でも、神社的には「茅の輪にはいろんな人の穢れが入ってるから、持ち帰らないでね」ってことだから、持ち帰らないほうが良いんですよ。
でも神社側が「やめてね」って言ってるんだから、カヤを持って帰るのはやめようね
茅の輪のカヤを持って帰っても良いって神社も
ただ、全部の神社が一律で「茅の輪のカヤを持って帰らないで!!」ってなってるわけじゃないです。
神社によっては、茅の輪のカヤを持って帰っても良いというところもあります。
京都の下御霊神社のツイッターに、このような質問が投稿されていました。
茅の輪は
くぐったあとにお分けいただく文化の場所も昔からあるのですが
というか昭和期は小さい神社さんはどこも6/30以降に持ち帰らせてたとおもいますが
近年になって持ち帰らない派がツイッターで主流になってきたのはどのような理由なんでしょうかhttps://t.co/bIcbY5Oqn4— いつき@神社巡り (@eki_itsuki) 2019年6月25日
この質問にあるように、場所によっては茅の輪のカヤを分けてもらえることがあるんですね。
それに対する下御霊神社の回答と見解は以下のような感じでした。
ご質問ありがとうございます。
【返信その1】
持ち帰り用に別の茅を用意してある神社もあります。
また、解釈の違う神社さんもあるかもしれません。
ご存知の神社さんについて詳しくはわかりませんが、そちらは推奨されていたわけでなく黙認されていたのではないでしょうか?(続く)— 下御霊神社 (@shimogoryo863) 2019年6月25日
【返信その2】
基本的に6月30日夕方の大祓いで、人形(ひとがた)も茅の輪も神職がお祓いします。その後なら茅の穢は祓われたと言えるでしょう。ただ、それを持ち帰って使うのは、一度使ったお札を神社でお祓いしてもらって再利用するのと同じようなことになります。(続く)— 下御霊神社 (@shimogoryo863) 2019年6月25日
【返信その3】
神様にお供えするものを祓い清めた後にお下がりを頂くこととは意味が違うと、当社は解釈しております。
ちなみにこちらの京都新聞の記事で、経緯などおわかり頂けると思います。https://t.co/CxEsnLOJrF— 下御霊神社 (@shimogoryo863) 2019年6月26日
要約すると、
- 茅の輪については、解釈が違う神社もあるかも
- 6月30日の大祓で茅の輪はお清めされる
- 下御霊神社的には、茅の輪のカヤは「お下がり」をいただくこととは違うと解釈
質問者さんによると「6月30日以降に持ち帰らせていた」とあるので、役目を終えてお清めされた茅の輪のカヤを分けていたんだと思います。
神社側の主張に合わせよう!
解釈によって「カヤを持って帰っても良いよ」って神社もあるので、ホント、神社によって色々です。
(みんながみんな「ダメ」ってスタンスなら、分かりやすくてよかったんだけどなぁ…)
そのため、
こちらのご質問への返信もあわせて読んで頂けると嬉しいです。
また、
●神社にとって6月30日の大祓いで神事を行うために(形を保った)茅の輪が必要だということ。
●行かれた先の神社さんが仰る通りにして頂きたい。この2つをご理解頂けると助かります。#茅の輪くぐり https://t.co/7WdD1X12DA
— 下御霊神社 (@shimogoryo863) 2019年6月26日
上のツイートにあるように、神社側の主張に合わせるのがベストですね。
まぁ基本的には持ち帰るべきじゃないって思ってほしいけど…。
「でも持って帰りたいんや!」って思うなら、一度神社側に聞こう。
あと、もう1つの「6月30日の大祓いで神事を行うために(形を保った)茅の輪が必要」って事情も知っておきましょう。(場所によっては7月中旬のところもあるよ)
茅の輪は夏越の大祓の必要アイテムなので、期間が終わるまで持ち帰るべきではないと思います…。
ちなみに、参考にした記事で、
(北野天満宮の大茅の輪について)
今年の6月25日には、午前5時に開門し、正午ごろまでにカヤはほとんどなくなった。
って一文があって…。
もしかして、夏越の大祓までずーっとむしられたままなのかしら…?
そういうのホントどうかと思うよ…
ダメってんなら、やめよう
京都の北野天満宮では持ち帰り用のミニ茅の輪があるよ!
6月25日の天神さんの日より、こちらのお持ち帰り用の茅の輪も頒布されます。初穂料350円。
大茅の輪を持ち帰るのではなく、ぜひこちらをお受けください…!#京都 #北野天満宮 #夏越の大祓 #茅の輪 #授与品 pic.twitter.com/b8Km07Os0w— 北野天満宮 北野文化研究所 (@kitano_bunka) 2019年6月23日
これは京都の北野天満宮の場合ですが、持ち帰り用のミニ茅の輪が350円で配布されています。
個人的には、こっちのほうがご利益あると思う。
まとめ
夏越の大祓の茅の輪についてまとめると、
- 基本的に茅の輪のカヤは持って帰っちゃダメ!
- 茅の輪は穢れを吸収してるから、持って帰ると穢れも持って帰ることになって、清めた意味がないよ!
- でも一部神社の解釈によって「持って帰っても良いよ」ってとこもある
- だから神社側の主張に合わせようね!(基本持って帰っちゃダメだけど)
って感じですかね。
基本的には、持って帰っちゃダメです。
「でも持って帰りたいなぁ」って思うなら、一度神社側に聞きましょう。
参拝者側も神社側も、気持ちよく茅の輪くぐりをしましょう!
それでは、ここまで読んでくださりありがとうございました!

